海外旅行でお土産を買う人は少なくないでしょう。そこでは海外で買えないようなものなどをお土産に選ぶいるといると思います。そして、ドイツのソーセージや、スペインの生ハムといった本場のものを買うことを考える人もいるかもしれません。
ですが、気になるのは海外で購入した肉製品を日本へと持ち込めるかどうかです。最近では日本への持ち込みが厳しくなってきています。せっかく買ってきたお土産を持ち込むことができないと、お土産を配ることができません。また肉製品の持ち込みが違反となれば、罰金を払う必要がどうか気になる人もいると思います。
こちらの記事では、海外で購入した肉製品を日本に持ち込むことができるかについて解説したいと思います。また、それに合わせて、こうした海外での購入品の日本への持ち込みで気を付けたいことについても解説したいと思います。
海外の肉製品の日本への持ち込みは基本的に不可
海外で購入した肉製品を日本に持ち込むことは基本的にできません。家畜から作られる加工品や動物の日本への持ち込みを検査する動物検疫所がありますが、海外で購入した肉製品の手荷物、国際郵便、宅配便による日本への持ち込みについて説明しています。
「現在、多くの国で口蹄疫やASF(アフリカ豚熱)などの家畜の病気が発生しています。また、おみやげや個人消費用の畜産物は検査証明書の取得が難しいため、肉製品や動物由来製品のほとんどは、日本へ持ち込むことができません。」
つまり、海外で購入した肉製品は、動物に関連した病気を日本に侵入させないために、動物検疫の対象となります。検疫では検査証明書がない限り、日本に持ち込むことができません。そして、一般的に個人用に検査証明書を取ることはできないのです。
肉製品などの日本を持ち込みに行われる動物検疫
それでは動物検疫の対象となる肉製品は何なのでしょうか。動物検疫所によれば、それは下記のものにあたります。
「生、冷蔵、冷凍、加熱調理済みの加工品など、いかなる形態のものでも動物検疫の対象です。加工品の例:ジャーキー、ハム、ソーセージ、ベーコン、肉まんなど」
乾燥したビーフジャーキーであろうが、加工してあるソーセージであろうが、肉である以上動物検疫の対象となってしまうのです。ちなみに家畜の伝染病のウイルスは十分に加熱すれば、感染力を失うそうです。ただし、それを目視で確認ができないため、輸出国政府が加熱した場合を除いて、原則持ち込みができないのです。
また肉とは動物の肉となります。それに当てはまるものは、牛、豚、山羊、羊、鹿、馬、犬、兎、鳥などの肉です。基本的に食用動物の肉全てと言って良いでしょう。
なお食用の水産物は対象外です。水産物が生きた状態でなければ、冷凍、冷蔵、乾ものと状態に問わず日本に持ち込むことが可能です。
動物検疫に必要となる検査証明書
家畜の病気の発生状況などにより、日本に肉製品を持ち込みができない国や地域があります。そこで、持ち込みが可能な国である場合、購入する国での検査証明書があれば、日本へ持ち込むことができるのです。
しかし冒頭で説明している通り、お土産など個人で消費するものに対して検査証明書の取得は簡単ではありません。
なお、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでは、政府発行の検査証明書を備えた商品もあります。それらは日本へ持ち込むことが可能です。下記に政府発行の検査証明書のサンプルがあります。
動物検疫に違反した場合、違法に海外の肉製品を日本に持ち込んだ場合
検査証明書を備えないまま海外の肉製品を日本に持ち込んだ場合、動物検疫所の職員により製品は没収されます。2019年より検査が厳しくなっており、2020年には対応する法律も変更され、罰金が引き上げられました。
違法性が高い場合、最高300万円の罰金、最高3年の懲役刑が課せられる可能性もあります。そのため過去に持ち込めたから、問題にならなかったからと、安易に肉製品を日本に持ち込むことはやめた方が良いです。
動物検疫に違反した場合の罰則について(動物検疫所公式ページより)
海外でお土産を購入した際に気を付けてなくてはいけないこと
1、空港内の免税店で日本に商品を持ち込むことができると言われても、持ち込めない可能性ががあります。免税店の商品であるため日本に持ち込むことができるとは限りません。政府発行の検査証明書が無い場合には、日本に肉製品を持ち込むことはできないのです。(動物検疫所のホームページでも、この問題について注意喚起されています。)
2、加熱されても、冷凍されても、真空パックに入っていても、肉の状態は関係なく、検査証明書が無い限り、日本に肉製品を持ち込むことはできません。
3、動物検疫所のホームページでは肉が含まれるカップ麺も動物検疫の対象と説明しています。つまり動物検疫の対象は、肉製品だけでなく肉が含まれる製品全般です。そのためソーセージ、ハムが含まれる製品も検査証明書が必要となります。(肉まんや肉入りちまきなども検疫対象であることが、動物検疫所のホームページで強調されています。)
動物検疫について覚えておきたいこと
お土産の購入以外でも、動物検疫となってしまう問題を紹介します。下記のようなことは海外旅行で起こることなので気を付けましょう。
1、飛行機で出た機内食の日本への持ち込み。機内食の残りを自宅などに持ち帰りたいと思う人もいるかもしれません。しかし、それに肉が含まれている場合、空港内の検疫で問題となってしまいます。そのため肉が含まれる機内食を持ち帰るのはやめましょう。
2、海外の空港でハム入りのサンドイッチやソーセージ入りのパンを購入して、機内で食べずに自宅に持ち帰ることもあるでしょう。しかし、この場合も検疫で問題となってしまいます。海外で購入した肉が含まれる食品は機内で食べておきましょう。
海外で肉製品をお土産に購入することは避けよう
海外では、お土産にできそうな肉製品が販売されています。また空港の免税店でも多くの肉製品を見つけることができるでしょう。しかし、それらは政府による検査証明書が無い限り、日本に持ち込むことはできません。
最近では肉製品の日本への持ち込みの罰則が厳しくなっています。場合によっては製品の没収で収まらず、罰金を支払うことにもなるでしょう。そのため、気軽に日本に持ち込むことが大きなリスクになるかもしれません。
ですので、そうしたリスクを背負うことを避けるために、肉製品を避けたものを日本に持ち込むことを強くお勧めします。