ドイツへ旅行する場合、多くのことが気になるでしょう。物価や、気温、そして治安など、旅行する前から気になるかもしれません。なぜなら、それが期待と合わなければ、旅行を諦める理由になるからです。
これらの情報の中でもドイツの治安について、気になる人は少なくないでしょう。なぜなら、ドイツに関してニュースで見るものは良いものばかりでないからです。また数年前にはドイツでもテロが発生しています。そのためドイツで怖い思いをしたくないと思うでしょう。
そこで気になるのは、実際のドイツの治安についての情報です。こちらの記事では、ドイツの治安の良いと都市と悪い都市、そして個人的なドイツの治安についての印象を紹介したいと思います。
ドイツの犯罪率、殺人率
まずは犯罪率(犯罪件数を総人口で割った数を10万倍したもの)を日本とドイツで比較したいと思います。日本の犯罪率は22.9に対して、ドイツは38となっています。数で判断すれば、ドイツの犯罪率は日本の倍近くとなっています。そのため日本よりも人口比で多くの犯罪が起きていることになります。
参考: World Population Review(犯罪率)
一方殺人率(犯罪件数を総人口で割った数を10万倍したもの)で、日本とドイツを比較してみましょう。ドイツの殺人率は、0.94で、10万人あたり1人が殺人で殺されていることになります。日本は0.25人で、40万人あたり1人が殺人で殺されていることになります。殺人率は日本の4倍です。そのため人口比で考えれば、日本より多くの殺人事件が起きていることになります。なお同じヨーロッパの国フランスでは1.07です。そのためドイツがヨーロッパで突出して高いわけではありません。簡単に言ってしまえば、日本が安全ということです。
参考: World Population Review(殺人率)
私はドイツに15年住んでいますが、個人的な印象で言えば、日本に比べると、スリや盗難といった軽犯罪が多いと思います。ただ、暴力的な事件を目撃することはなく、酔っ払いの喧嘩や悪ふざけなどに遭遇する程度です。深夜に出歩かない、金目のものを目立つようにしなければ、まず犯罪に巻き込まれることはないでしょう。
2024年版ドイツの安全な大都市ベスト10
ドイツの保険会社allianzでは、「ドイツの安全な大都市ベスト10」と「危険な大都市ベスト10」のデータを毎年公表しています。
2023年のデータを元に発表された、2024年版ドイツの安全な大都市ベスト10ですが、1位に入っているのはミュンヘンです。多くの人がミュンヘンにドイツ旅行で訪れると思いますが、ドイツの大都市で一番安全な街となっています。
ベスト3に入るのはヴィスバーデン、3位のアウグスブルクです。4位以下は、マインツ、ニュルンベルク、ビーレフェルト、オーバーハウゼン、ボーフム、シュツットガルト、カールスルーエと続いています。
いずれも旧西ドイツの国であること、また南ドイツにあるバイエルン州から3つの都市がラインクインしていることが特徴と言えるかもしれません。長く観光都市であったこともあり、治安が良いのかもしれません。
(データは各都市の犯罪数を都市の人口で割り、20万人以上の大都市のみで比較しています)
ドイツの安全な大都市ベスト10(2023年)
- ミュンヘン
- ヴィスバーデン
- アウグスブルク
- マインツ
- ニュルンベルク
- ビーレフェルト
- オーバーハウゼン
- ボーフム
- シュツットガルト
- カールスルーエ
2024年版ドイツの危険な大都市ベスト10
allianzでは同様に危険な大都市ベスト10を作成しており、1位となっているのはフランクフルト(アム・マイン)です。ベスト3には2位のベルリン、3位のブレーメンが入っています。
私はベルリンに住んでいますが、殺人や傷害事件を知り合いのなかで聞いたことはありません。ですが、1回スリの被害にあっており、スリ未遂や、スリが行われる状況を見たことがあります。そのため、ベルリンではスリや盗難は多く発生しているので、気を付けることをお勧めします。
4位以下はハノーファー、マグデブルク、ケルン、ハレ(アム・ザーレ)、デュッセルドルフ、ハンブルク、アーヘンと続いています。
全体的に北ドイツ地域や東ドイツ地域の都市が多く、バイエルン州や、バーデン=ヴュルテンベルク州など南ドイツの都市は入っていません。フランクフルトはドイツの主要な空港があり、ドイツを訪れる際には多くの人が訪れる場所です。観光客はスリや盗難のターゲットに遭いやすいので、フランクフルトでは用心をした方が良いでしょう。
2023年版ドイツの危険な大都市ベスト10
- フランクフルト(アム・マイン)
- ベルリン
- ブレーメン
- ハノーファー
- マグデブルク
- ケルン
- ハレ(アム・ザーレ)
- デュッセルドルフ
- ハンブルク
- アーヘン
allianzによるドイツの安全な都市と、危険な都市のレポート
サッカーの試合や大きなイベントでは多くの警察が配備される
ドイツを旅行すると、おそらく気になるのは警察の配備かもしれません。例えば、主要な駅や、イベント会場、そして多くの人が集まる広場などに、機動隊のように多くの装備を備えた警官が配備されることがあります。
主要な駅に警察が多数配備されるのは、サッカーの試合のケースが多いです。サッカーファンが酒を飲んで暴れる、また小競り合いを起こすことがあるからです。決して危険な状況ではありませんが、周辺にサッカーファンがいないか確認して、近くにいれば、離れた方が良いでしょう。
イベント会場に配備される警察もサッカーの試合と同様のケースです。イベント会場でお酒を飲んだ人が暴れる、小競り合いを起こすことを想定して警察が配備されています。この場合も周辺に酔っ払いなどがいる可能性が高いので、そうした人から距離を取ることをお勧めします。
広場などに配置される警察は、多くの場合デモに対して配備されています。これもデモなどがエスカレートすることを想定して配備されています。基本的にエスカレートすることは稀ですが、それでも厄介なことに巻き込まれないように、デモから距離をとったほうが良いでしょう。
ドイツの治安について個人的な印象
ドイツに15年以上住んでいる経験から言えるのは、傷害事件などに会うことは、まずないと思います。また深夜に出歩いたり、明らかに治安が悪そうな場所に出向かないといった、常識的な行動をとれば、犯罪に出会うことはないでしょう。
ただし、私自身がスリあにあったり、目撃をしており、スリや盗難は明らかに日本より多いです。もちろん観光客はスリや盗難を行う犯罪にとっては、ターゲットととなります。そのため、金目のものを持ち歩かない、財布は盗まれにくい場所に入れる、カメラや携帯にも気を付けるようにした方が良いでしょう。
なお旅行先で突然話しかける人がいますが、基本的に気を付けたほうが良いでしょう。特に知らない若者が突然、握手をしてきたり、ハグをすることは、気を逸らせて財布などを盗むテクニックとなっています。いくらヨーロッパとはいえ、バス停や通りなどで、突然握手やハグを求められることは珍しいです(特にドイツでは)。そのため、こうしたスリや盗難に気をつけるようにしましょう。