ウィーンはオーストリアの首都で、世界三大フィルハーモニーでも知られる、ウィーンフィルがウィーンに本拠地を構えるクラシック音楽の街です。またクリムトなどウィーン分離派が活動していた芸術の街でもあるのです。
このような中欧の文化都市ウィーンを、旅行で訪れる人は少なくないでしょう。しかし、気になるのは公共交通機関の使い方です。なぜなら、料金体系、改札、そして利用法などが、日本と大きく異なるからです。そのため、訪れた際に、その違いに驚かされてしまうでしょう。
そこで、こちらの記事ではウィーンの公共交通機関の種類、その使い方や料金体系、そして乗車券の種類などを解説します。
ウィーンの公共交通機関の利用法を理解して、ウィーン観光にぜひ役立ててください。
- ウィーンの公共交通機関の運営会社
- ウィーンの公共交通機関の種類
- ウィーンの公共交通機関の路線図
- 乗車券の種類と価格
- ウィーン国際空港と市内の移動
- ウィーンの公共交通機関の使い方
- 気を付けなくてはいけないこと / 乗車券に打刻が必要
- 便利なアプリ
ウィーンの公共交通機関の運営会社
ウィーンの交通機関の運営会社(ウィーンで市バス、路面電車、地下鉄を運行)
- ウィーン交通局 / Wiener Linien
ウィーンで運行されている運営会社の異なるその他の交通機関
- Sバーン、オーストリア連邦鉄道(ÖBB)
ウィーンなど周辺地域を束ねる交通グループ
- 東部地域交通連合(通称VOR)/ Verkehrsverbund Ost-Region
ウィーンでは複数の運営会社が公共交通機関を運営しています。そのうちの一つが、ウィーン交通局で、市バス、路面電車、地下鉄の運行を行なっています。
それ以外にも、オーストリア連邦鉄道がSバーンや鉄道を運行しているのです。
ウィーン交通局、Sバーンやオーストリア連邦鉄道(ウィーン市周辺)は周辺地域の公共交通機関が構成する東部地域交通連合に所属しています。そのため東部地域交通連合に属する公共交通機関の乗車券を購入すれば、それに所属する他の交通機関を利用できるのです。
ウィーンの公共交通機関の種類
ウィーンの公共交通機関
- 市バス(Bus)
- 路面電車(Straßenbahn)、ヴィーン – バーデン地方線(Badner Bahn)
- 地下鉄(U-Bahn)
- Sバーン(S-bahn)
- オーストリア連邦鉄道(ÖBB)/ 高速鉄道を除く
市バス(Bus)
市内各所をバス路線が結んでおり、使用頻度が高いです。
路面電車(Straßenbahn)、ヴィーン – バーデン地方線(Badner Bahn)
市内中心部から郊外まで路線が伸びており、市内の移動だけでなく、郊外への移動も便利です。ヴィーン – バーデン地方線は市内の路面電車に乗り入れている路線です。
地下鉄(U-Bahn)
市内の各所を結んでいます。路面電車より駅間が短く、早く移動することができます。
Sバーン(S-bahn)
ウィーンと近隣の都市を結ぶ鉄道の路線です。駅間が長く、早く長距離を移動することができます。
オーストリア連邦鉄道(ÖBB)/ 高速鉄道を除く
ウィーンと遠距離の都市を結ぶ鉄道の路線です。ウィーン市内にも路線があり、乗車券の利用範囲内で利用することができます。駅間が長く、長距離を早く移動することができます。

ウィーンの公共交通機関の路線図


ウィーン市や空港などの周辺地域の路線図/ Sバーン、地下鉄など(PDF)

ウィーン市周辺地域の全体路線図 / バス、地下鉄、路面電車、Sバーンなど(PDF)
乗車券の種類と価格
ウィーンの公共交通機関の主な乗車券は下記のものになります。表示されている価格はいずれもウィーン市内(Kernzone Wien)のものです。
なお乗車券は2026年1月1日に価格が改定され、値上がりすることになります。
- 片道乗車券 / Einzelticket
- 1日乗車券 / 24-Stunden-Netzkarte
- 2日乗車券 / 48-Stunden-Netzkarte
- 3日乗車券 / 72-Stunden-Netzkarte
- 7日乗車券/ Flexibles 7 Tage WIEN-Ticket
片道乗車券 / Einzelticket
ウィーン市内の移動に利用することができます。途中下車が可能で、交通手段も乗り換えることができます。また上記で説明した交通機関(市バス、路面電車、地下鉄、Sバーン、オーストリア連邦鉄道(ÖBB/高速鉄道を除く)を利用できます。
注1: 6歳未満は無料
注1: 6〜15歳は割引価格
| 一般価格 | 割引価格 (6〜15歳) | 有効利用時間 |
|---|---|---|
| 2.4 Euro | 1.2 Euro | 80分 |
1日乗車券 / 24-Stunden-Netzkarte
打刻してから、24時間、48時間、72時間利用することができる乗車券です。
ウィーン市内の移動に利用することができます。途中下車が可能で、交通手段も乗り換えることができます。また上記で説明した交通機関(市バス、路面電車、地下鉄、Sバーン、オーストリア連邦鉄道(ÖBB/高速鉄道を除く)を利用できます。
注1: 6歳未満は無料
| 利用日数 / 名称 | 価格 |
|---|---|
| 1日 / 24-Stunden-Netzkarte | 8.0 Euro |
| 2日 / 48-Stunden-Netzkarte | 14.1 Euro |
| 3日 / 72-Stunden-Netzkarte | 17.1 Euro |
7日乗車券/ Flexibles 7 Tage WIEN-Ticket
打刻してから、7日間連続して利用することができる乗車券です。
ウィーン市内の移動に利用することができます。途中下車が可能で、交通手段も乗り換えることができます。また上記で説明した交通機関(市バス、路面電車、地下鉄、Sバーン、オーストリア連邦鉄道(ÖBB/高速鉄道を除く)を利用できます。
注1: 6歳未満は無料
| 利用日数 / 名称 | 価格 |
|---|---|
| 7日 / Flexibles 7 Tage WIEN-Ticket | 22.6 Euro |
ウィーン国際空港と市内の移動
ウィーン郊外にあるウィーン国際空港と市内の移動は下記の選択肢があります。
(2025年11月の情報です)
- Sバーン / 30分 / 4.6 ユーロ
- Railjet(RJ)もしくはRailjet xpress(RJX)/ 15分 / 4.6 ユーロ
- エアポートトレイン / City Airport Train (CAT) / 16分 / 14.9 ユーロ
- エアポートバス / 15分 / 11 ユーロ
Sバーンで
S7の路線に乗り換えることで、移動することができます。
Railjet(RJ)もしくはRailjet xpress(RJX)
乗り換えもなく、ウィーン中央駅まで停車駅もなく移動することができます。
CATとの違いは乗車券の価格と到着駅です。
エアポートトレイン / City Airport Train (CAT)
乗り換えもなく、ウィーンミッテ駅まで停車駅もなく移動することができます。RJやRJXの違いは乗車券の価格と到着駅です。
エアポートバス
空港から、市内各所にエアポートバスの路線が出ています。宿泊先が停留所に近い場合には、とても便利です。

ウィーンの公共交通機関の使い方
市バスの乗り方
乗車券
アプリや駅などで乗車券を購入してください。
打刻
バス車内に打刻機があるので、打刻していない場合は、車内で打刻することができます。
降車
降車の際は車内にある停車ボタンを押して降車してください。一般的には車内にモニターがあり、次の停留所が表示されます。そこで停車ボタンを押して降車します。降車の際には運転手席側でなく、他のドアから降車してください(乗車する人とぶつかってしまうからです)
気をつけるべきこと
出入り口のドア付近に立たないことをお勧めします。ドアのセンサーが反応して閉じないことがあります。(一般的に黄色い線で立ってはいけないエリアが表示されています)
路面電車の乗り方
乗車券
車内に券売機があります。ただし乗車券は1割ほど割高の価格なっています。
打刻
車内に打刻機があるので、打刻していない場合は、車内で打刻することができます。車内で購入した乗車券は打刻の必要がありません。
降車
出入り口のドア上にドアの開閉ボタンがあります。それを押してドアを開けます。ドアのボタンを押さないとドアが開かないので、気をつけてください(自動開閉の場合もあります)。
Sバーン/地下鉄/オーストリア連邦鉄道の乗り方
乗車券
駅構内に券売機が設置されています(車内に券売機はありません)。
打刻
改札がなく、その代わり駅構内で打刻をする必要があります。
ドアの開閉
出入り口のドア上にドアの開閉ボタンがあります。それを押してドアを開けます。ドアのボタンを押さないとドアが開かないので、気をつけてください(自動開閉の場合もあります)。
気を付けなくてはいけないこと / 乗車券に打刻が必要
オーストリアの鉄道(Sバーン、地下鉄、オーストリア連邦鉄道)には改札口が設置されていません。そのため乗車券を利用する場合、打刻機で利用を始める駅名や利用開始時刻を入れる必要があります。これは改札で行う処理を利用者が行う形になります(デジタルの場合には必要ありません)。
鉄道の場合には打刻用の機械は一般的に券売機の近くに設置されています。バスの車内や路面電車のにも打刻用の機械が備え付けられています。そのため車内で打刻できます。
なおアプリの場合には、多くの乗車券は発券の段階で打刻されています(回数券などを除く)。
打刻しない場合は無賃乗車として罰金
乗車券を購入していても、打刻していない場合には無賃乗車とみなされます。打刻していない場合、乗車券に乗車した駅や乗車した時刻が記録されません。そのため利用状況に応じた乗車券を利用しているかどうか判断できないからです(公共交通機関では車内で検札を行われています)。
もちろん乗車券を持たない場合も不正乗車となります。
不正乗車の場合、105ユーロ(2025年11月現在)の罰金を支払う必要があります。またその場で支払えない場合には、115ユーロの罰金となります。そのため乗車券の打刻忘や、乗車券の紛失に気をつけてください。
便利なアプリ
ウィーン交通局ではスマホアプリを提供しています。アプリでは路線図や移動経路を確認でき、乗車券の購入もできます。
ザルツブルクの公共交通機関は、こちらの記事で紹介しています。
